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プログラミング周辺知識の備忘録メイン

量子コンピューターの基礎的なこと

量子コンピュータに関するお勉強も機械学習と並行してやっている。
しかし、概要部分を学んだあとはこちらは余裕があるときだけ手を付ける。

量子コンピュータの概念は物理学的というよりもむしろ数学的で経験の類は関与せず、
形式的な推論と直観からくる公理からなる。
ここでは数学に関する実在論は脇に置くが
一般人が多ビットRSA暗号を破ることが出来るくらいの実用化するときが本当に来るのだろうか??

量子力学の4つの公理は、Quantum Computation and Quantum Information Michael.A.Nielsen の邦訳
量子コンピューターと量子通信(1)オーム社を参考にして書く。
以下の内容はメモっぽいので、この本のほうがもっときちんと詳しく書いている。


量子力学は以下の4つの公理をもとに理論が展開される。

1.状態空間

任意の孤立した物理システムに関して、状態空間と呼ぶ内積を伴う複素ベクトル空間(Hilbert空間)が存在し、システムは状態空間の単位ベクトルである状態ベクトルで完全に記述される。

基本的な量子力学システムはqビットとして考える。
qビットは二次元の状態空間を持ち、二つの計算基底を持つ。
例えば、基底を|0〉、|1〉とすると状態空間上の任意の状態ベクトルは以下のように書ける。
|\psi\rangle=a|0\rangle+ b|1\rangle(a,b\in C,|a|^2+|b|^2=1)
これはそれぞれの状態に対する振幅a,bでもって、状態|0〉と|1〉を重ね合わたものである。これは観測するまでは連続した状態で存在するとして解釈される。
これらの状態をアダマール変換した|+〉、|-〉も計算基底の一つである。

2.時間発展

閉じた量子システムの時間発展はユニタリー変換で記述される。
ある時刻のシステムの状態|ψ〉はある時刻における状態|ψ'〉の関係はユニタリー作用素Uで以下のように表される。
|\psi'\rangle= U|\psi\rangle

オペレーターがユニタリーである理由はノルム(=1)の保存のためである。
単一qビットのユニタリーオペレータ例としては、アダマール行列H、パウリ行列X,Y,Zがある。
Xは|0〉を|1〉、|1〉を|0〉に変換する量子NOTゲートと呼ばれる。
Hは|0〉、|1〉を(|0〉±|1〉)/√2に変換する量子NOTゲートの中間っぽいがH^2=Iである。
多qビットのユニタリーオペレータ例は制御NOTやToffoliゲートがある。
任意のユニタリーオペレータを表現または近似するときにこれらを使用すれば可能である。
XORやNANDなどの非可逆古典的ゲートと違って制御NOTなどユニタリーゲートは可逆なので理論上計算エネルギーの消費はないが、ノイズなどの誤り訂正でエネルギー消費する。
量子ゲートの詳細は以下のURLを参照
Quantum gate - Wikipedia

3.量子測定

正規直交基系ならば計算基底状態に関して、振幅のノルムの2乗の確率で測定できる。
量子測定は測定オペレータの集まり{M_n}で表される。これらのオペレータは被測定システムの状態空間に作用し、
指数mは実験で生じる測定結果を表す。測定直前の量子システム状態が|ψ〉ならば、測定結果mが生じる確率は
p(m)=\langle\psi|M^\dagger_mM_m|\psi\rangle
で与えられ、
Σ_m(p(m))=1の完全性を有する。

量子状態の測定として、射影測定、Neumannの測定、POVM測定がある。
射影測定は射影オペレータを拡張することで公理3と等価であり、複合システムの測定も可能である。
被測定システムの状態空間上のエルミートオペレータである 観測量Mで記述される。
M=Σ_m mP_m
P_mは固有値mを持つMの固有空間への射影オペレータでmを得る確率と測定直後の状態は
P(m)=\langleψ|P_m|ψ\rangle
P_m|\psi\rangle/\sqrt{(p(m)}
である。これは完全性Σ_mM^\dagger_mM_m=Iを満たし、M_mは直交射影オペレータを満たすとする。

POVM測定では全POVM要素P_mはPOVM測定オペレータP_m†P_mそれ自身に等しい。

4.複合システム

2つ以上の異なるシステムからなる複合量子システムの状態空間は要素量子システムの状態空間のテンソル
|\psi_1\rangle\otimes|\psi_2\rangle\otimes\ldots\otimes|\psi_n\rangle
で与えられる。
|00\rangle≡|0\rangle\otimes|0\rangle
とすれば、例えばこの公理によりエンタングルメントの定義ができる。
|\psi\rangle= (|00\rangle+|11\rangle)/\sqrt{2}
EPR実験や量子テレポーテーションにおいてEPR対の表現にも使われる。
複合量子システムの部分システムの記述に密度オペレータが用いられる。


これらの公理のMotivationが明確でなく推測的な要素が多いのは、おそらく非直観的であることも関係しているだろう。